浮体式洋上風力発電事業を進める上で、地元の自治体の協力は不可欠です。洋上風力発電に積極的に取り組む北九州市の中村さんににお話を伺ってまいりました。

北九州市 中村さん

北九州市の洋上風力発電の取り組みについて教えてください。

北九州市も2050年までに脱炭素社会を目指すということで、ゼロカーボンシティを宣言しております。北九州市の特徴は、ただ単純にカーボンニュートラルを目指すのではなく、産業都市であることを活かして、環境と経済の好循環(北九州モデル)を目指すところです。

その一つとして、洋上風力発電が重要であると捉えています。港湾区域における22万キロワットのウィンドファーム及びNEDOさんのバージ型も含め、響灘一般海域における洋上風力発電の導入を積極的に図っていきたいです。日本全国いろんなところで、ウィンドファームができれば、基地港湾である北九州港が使われる機会が増え活性化に繋がると考えています。

洋上風力発電を通して北九州の産業や地域の活性化をしていきたいという一心で、取り組みを進めています。

ウィンドファームの開発を始めるにあたって、反発がありましたか?

漁業関係者から、風車を建てることでその場所での漁ができない、騒音などによって魚が逃げるのではないかといった不安の声がありました。反発というより様々な不安の声が多かったです。


今後、北九州市で実証事業が行われる場合の北九州市の関わり方を教えていただきたいです。

一基目と同様に、地元ステークホルダーとの調整、環境アセスメント、海域占用手続きのお手伝いなど、事業を進めるにあたっての側面的な支援をさせていただきます。

環境影響評価に関して、浮体式であるが故の課題はありますか?

特にないと考えていますが、浮体式では、係留チェーンが必要となるため、そちらでの違いが出てくるかもしれないと考えられます。  

市民の方は再生可能エネルギーの導入に前向きなのですか。

「再生可能エネルギーの導入っていいよね」など総論賛成という形ですが、各論はそれぞれの立場で異なってきます。なので、住民へのメリットを示すことで合意形成に繋げることが重要だと考えています。

近年台風の巨大化が進んでいますが、洋上風力を設置する上で、台風などの自然災害時の対応はどのように考えているのですか。

自治体として対応を取るより、発電事業者が対応を考えるべきと考えています。台風などに対する安全を含めた風車の認証については、日本海事協会が行っており、認定が通ったものを発電事業者側が検討する話だと考えています。まずは事業者側が自然災害対策を盛り込んだ設置を行うことになると考えています。

 

今回北九州市さんのお話を聞いて、地域やコミュニティに最も近い存在だと理解しました。コミュニティの声を整理して洋上風力発電のプロセスにどのように反映していくのか検討し、事業者などに伝えていく自治体の大切な役割を感じました。

 

インタビュー担当:ぶっちー れんや そーま 竹内先生

【インタビュー実施日 2022年10月26日】