今回は関西設計株式会社の小嶋さん、小濱さんに、洋上風力発電設備の設計や保守・点検についてお話しを伺いました。

関西設計株式会社 小嶋さん、小濱さん

はじめに関西設計さんのお仕事について教えてください。

 

私たちは、OPTIFLOWの設計のレビューを行なっています。また、設計されたOPTIFLOWの挙動のシミュレーション結果と水槽実験(鈴木先生の水槽実験の記事へのリンク)の結果の比較を行うことで、シミュレーションの確からしさをチェックしています。

 

今回の設計で最も特徴的な部分は何でしょうか?

OPTIFLOWの特徴は、風見鶏のように風の方向によって回るようになっているところです。

どのような状況を想定して設計を行うのでしょうか?

風速について、設計上では50m/sまで耐えられるものを想定しています。また、9.0mの波高を想定して設計しています。これは有義波高​​というもので、目視の波高に近いとされています。瞬間的には高さ18mもの波が起こることもありますが、これは50年に1度起こるかどうかというものです。しかし、そのような場合も想定した上で設計をしています。

これらの課題は技術的に克服可能です。ただし、コストアップの原因になってしまうので、運動の小さい浮体を作ることでコスト削減を目指すことが求められます。

 

 

シミュレーションの様子(提供:関西設計)

 

洋上風力発電は何年稼働するのでしょうか?

20年稼働することを想定しています。

 

関西設計さんは保守・点検にどのように関わっていらっしゃいますか?

海上では波や雷などの自然現象に加え、船による衝突など、想定外のケースが生じるリスクがある為、定期的な保守点検を行うことで、発電設備を守っていく必要があります。
こうした中、関西設計では、波があって通船が揺れても、安全に乗下船できるような設備を設計するようにしています。それとともに、浮体内部の交通設備(通路、階段、梯子など)にも配慮し、各所にアクセスしやすくメンテナンス作業が安全に行えるような設計を心がけています。

 

稼働を終えた浮体式洋上風力発電設備はどうなるのでしょうか?

近年SDGsが話題となり、物を作るだけでなく、物の回収の仕方も注目されています。洋上風力発電設備は浮体を係留することによって波に流されないように設計されています。よって回収するためには係留するために繋いでいるチェーンを外し、解体しやすい場所まで船で引っ張ればいいので環境にも優しい設計となっています。

 


日本は島国なので、風車を設置できる海域が広いところが強みです。一方で、日本の海は急に深くなるため、着床式の風車を設置する範囲は限られています。また、頻繁に起こる台風に対しても、対応が求められます。日本の強みを活かし、弱みを乗り越える上では、安全性の高い浮体式洋上風力発電設備を設計する関西設計さんのお仕事は不可欠ですね!

 

インタビュー担当:たいせい ゆいちゃん しょうへい

 

【インタビュー実施日 2022年3月8日】