今回は、浮体部分の製造を担当している株式会社寺岡の齋藤社長に、浮体の作り方やこれからのチャレンジについてインタビューを行いました。

株式会社寺岡 齋藤社長

はじめに普段の業務の内容やOPTIFLOWでどのような役割を担っているのか教えてください。

私たちは、戦艦大和の故郷の呉市にある大きな鉄工所を運営しています。100人程度で運営していて、船のパーツや大きな鋼構造物の製作を主に行っています。具体的には、船の一部である船体ブロックの製作や、埋め立て時に使われるリクレーマー船の建造、火力発電所向けのコンベアの製作等を行っています。OPTIFLOWでは、浮体ブロックの製作を担当します。まっすぐな板を何枚も溶接して浮体ブロックを作っていて、一つ70トン近くあるものを50個作る予定です。

 

浮体ブロックを作るにあたって、構造的な面でどのような工夫を行っていますか?

浮体部内に海水が入るのはあってはならないので、それを防ぐために溶接時にレントゲンを撮り穴が無いようにしています。昔はブロック状で作らずに、骨組みに鉄板を張り付けるような施工をしていましたが、工数や設備の観点からブロックを用いるようになりました。

なぜ、今回OPTIFLOWの製造に関わるこの事業に参加したのですか?

当時、造船の仕事量が安定しなかったことや、海上輸送という意味での国際的な値段が課題としてありました。そんな中で、洋上風力というものが世の中の話題としてホットだったこと、またこの地域での雇用創出といった面もあり、新しい事業として洋上風力に関わろうといったところが背景にあります。

今回の事業はかなりのチャレンジだと思うのですが、今後もっと、チャレンジしていきたいことなど具体的にありますか?

新エネルギー分野もそうですし、地域の雇用という面でもありますね。この呉という地域では、ここで一番大きな製鉄所が来年の9月に閉鎖になってしまうんです。そういったことも含めて、いろんな影響が呉市内で起きています。それに対して私たちはこの呉市において雇用維持していくためには洋上風力発電とか新しい分野に挑戦していきたいと思いました。「ものづくりの分野だけにこだわらない」と弊社のホームページにも書いてある通り、高齢者が増えている中でこの周辺は島が多くみかんなど農業が盛んな地域があります。そういった方を再雇用することで地域に根付いたことをやっていきたいと考えています。

OPTIFLOWのプロジェクトに関わるため、洋上風力の視察や新たに勉強されたことなどありますか。

5年前ぐらいから、風車とは何なのか?というところから始まり、日本に洋上風力がないこと、ヨーロッパ周辺で盛んに行われていること、そういった各国の洋上風力に対する試みなどを文献で調査しました。あとは、洋上風力の中にも、OPTIFLOWのような浮体式もあれば、そうでない着床式もあったり、それに付随して、風車を設置するクレーンがついた船についてもかなり勉強しました。視察はまだ実施していないですが。新エネルギーの導入にむけて、世の中が動いている中で、大型の鋼構造物を造る弊社が関係するものは結構あるかと思います。

再生可能エネルギーに関する仕事はいつ頃から増えてきたような印象ですか?

再生可能エネルギーが話題として出てきたのは5、6年前からでした。また、OPTIFLOWの話が出てきてからは脱炭素に関する話やプロジェクトが増えてきたような感じがします。


地域に根付いた事業を拡大していくことを強く語ってくださいました!これからもチャレンジ精神を活かした発展をお祈りしています!

 

インタビュー担当:わたる あゆ 竹内先生

【インタビュー実施日 2022年6月24日】